サマリー
◆近年、人的資本投資の重要性が、産官学の各方面から指摘されている。背景には、人手不足解消や、賃上げ、企業成長への関心の高まりがある。更に、日本の経済構造の変化を受けて、人的資本投資の主体を、企業から個人へと移す必要性も指摘されている。
◆しかし、厚生労働省の調査では、2024年に自己啓発をした労働者は36.8%に留まる。単純集計値で見ると、正社員と非正社員や、男女、学歴などで差があるほか、実施の際の問題点としては、仕事の忙しさや家事育児の負担等が挙げられている。
◆どのような人が自己啓発に時間を費やしているのかをより詳しく分析するため、NIRA総合研究開発機構が保有する 18歳~64歳の勤労者の個票データを対象に、自己啓発の時間と深い関連を持つとみられる属性や要素について、トービットモデルと呼ばれる手法を用いて定量分析した。
◆定量分析からは、①転職志向が強い場合は自己啓発の時間も長い、②未就学児が居る場合は自己啓発の時間が短い、③女性の自己啓発の時間は家事・育児・介護時間等を統計的にコントロールしても短い傾向にある、という3つの主要な示唆を得た。
◆これらの結果は、自己啓発の促進には個人の意識だけでなく、子育て負担の緩和や、女性のキャリア形成支援など、社会的な環境整備が不可欠であることを示唆する。したがって、政府や企業には、こうした個人の多様な属性や社会的背景を考慮した、きめ細やかな自己啓発の支援策を講じていく必要がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
なぜ女性は理系分野を選択しないのか?
女性のSTEM人材不足の現状と教育段階におけるジェンダーギャップ
2025年06月27日
-
出産・育児が生み出す男女の所得格差の実態
日本のChild Penaltyを推計
2024年10月08日
-
CPI先行指数としての「大和PSI」の可能性
指数上昇要因を捕捉可能、外生的要因によるインフレ時に強い先行性
2025年05月07日
-
国際学会から見る次世代AIの現在と未来
Andrew Ng教授の描く近未来図と、AAAI-25から知る最新技術動向
2025年04月11日
同じカテゴリの最新レポート
-
2026年1月消費統計
サービスは弱いものの財が強く、総じて見れば前月から小幅に増加
2026年03月10日
-
2025年10-12月期GDP(2次速報)
幅広い需要項目が上方修正され、実質GDPは前期比年率+1.3%に
2026年03月10日
-
消費データブック(2026/3/5号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2026年03月05日
最新のレポート・コラム
-
IOSCOの2026年作業プログラム
グローバル化とデジタル技術の進化がもたらす構造的リスクに対処
2026年03月13日
-
財政安定化の条件:ドーマー条件成立だけでなく、PB黒字化が重要
財政シリーズレポート4
2026年03月13日
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
大和のクリプトナビ No.8 東証が暗号資産トレジャリー企業への対応を検討か
トレジャリー企業を巡る直近の動向と海外制度の整理
2026年03月12日
-
続・アクティビスト投資家進化論
~今後アクティビスト投資家に求められる「価値創造力」~
2026年03月13日
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
理系進路選択に対する男女差の要因分析
女性の理系人材を増やすには、より早期段階での介入や対応が必要
2026年02月06日
-
2026年の東証改革の方針
上場会社の質の向上と新陳代謝を促進する市場機能の強化
2026年02月02日
-
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
-
第228回日本経済予測
第2次高市政権の重点政策、どう進めるか①外国人労働者受け入れ、②消費減税/成長・危機管理投資、を検証
2026年02月20日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
理系進路選択に対する男女差の要因分析
女性の理系人材を増やすには、より早期段階での介入や対応が必要
2026年02月06日
2026年の東証改革の方針
上場会社の質の向上と新陳代謝を促進する市場機能の強化
2026年02月02日
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
第228回日本経済予測
第2次高市政権の重点政策、どう進めるか①外国人労働者受け入れ、②消費減税/成長・危機管理投資、を検証
2026年02月20日

