サマリー
◆本稿では自然利子率をヒントに、日本経済が今後移行し得る均衡として、デフレ均衡、インフレ均衡、「高成長・インフレ均衡」という3つの可能性があることを指摘する。
◆日本の自然利子率は1980年代から直近の2023年7-9月期にかけて2.6%pt程度低下した。背景には、期待成長率の低下に伴う設備投資の減少や民間貯蓄の積み増しなどがあったとみられる。この結果、金融緩和効果が減殺され、日本経済はデフレ均衡に陥った。だが、新型コロナウイルス禍などによる外部ショックがもたらしたインフレ期待の上昇により、足元ではインフレ均衡に移行する可能性が高まっている。
◆自然利子率は政策対応によって1%pt程度の上昇余地があり、中長期的には「高成長・インフレ均衡」への移行も考えられる。デフレ均衡とインフレ均衡で期待される実質GDP成長率は年率+0.6~0.7%程度にとどまるが、「高成長・インフレ均衡」では同+1.1%程度となる。インフレ均衡への移行だけは成長率はさほど高まらず、各種政策の成果を積み上げることで「高成長・インフレ均衡」を目指すことが重要だ。
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