サマリー
◆2023年10-12月期の全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前年同期比+4.2%、経常利益は同+13.0%と、4四半期連続の増収増益となった。ただし、経常利益は売上高の伸び率低下を主因に7-9月期から減速した。季節調整値で見ると、全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前期比+0.9%、経常利益は同▲2.6%と、2四半期連続の増収減益となった。設備投資(ソフトウェア除く)は前年同期比+11.7%と11四半期連続で増加し、7-9月期(同+1.7%)から急加速した。海外経済の先行き不透明感の緩和もあって、先送りされてきた投資が実行に移された可能性がある。
◆2024年1-3月期以降の経常利益(季節調整値)は前期比で増加傾向が続くとみている。価格転嫁が浸透する中で、賃上げなどによる企業収益への影響は限定的となる見込みだ。製造業では、シリコンサイクルの改善や資本財関連業種の復調も押し上げ要因となろう。他方、自動車関連業種では挽回輸出による押し上げ効果が剥落したり、工場稼働停止の悪影響が表れたりするとみている。非製造業では、サービス消費やインバウンド消費の回復が追い風となろう。設備投資は、企業の潤沢な手元資金や資金調達環境の改善を背景に緩やかに増加する見込みだ。もっとも、人手不足の深刻化によって工場建設が一段と遅れ、新規の設備導入が抑制される可能性には注意が必要だ。
◆今回の法人企業統計の結果を受けて、2023年10-12月期GDP2次速報(3月11日公表予定)では実質GDP成長率が前期比年率+1.7%と、1次速報(同▲0.4%)から上方修正されると予想する。
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