サマリー
◆医療保険属性別の合計特殊出生率(TFR)につき、新たに、2021年度の推計、国保を「市町村国保」と「国保組合」に分けた推計、公立学校共済組合の推計を行った。
◆2020年度まで続いていた正規雇用女性を中心とした「被保険者」の上昇トレンド、および専業主婦やパートで働く「被扶養者」の低下トレンドは2021年度も継続した。「被扶養者」の出生率低下が日本全体の出生率低下に大きく寄与している。日本全体のTFRを引き上げるためには、幼児期に家庭で子育てをする女性のいる世帯への子育て支援を強化し、被扶養者のTFRを回復させる必要があることが示唆される。
◆純然たる自営業世帯からなる「国保組合」のTFRは2008年度から2020年度まで1.4前後で推移した。育休制度の拡充等により正規雇用女性への「両立支援」は進んだが、自営業者の女性には支援が十分に行き届いていないことが示唆される。
◆世帯主が非正規雇用者の世帯が多く属する「市町村国保」のTFRは2015年度頃から低下傾向にある。また、正規教職員のTFRが1.9ほどであるのに対し、非正規教職員のTFRは0.3ほどと極端に低い。非正規雇用者の社会保険適用や待遇改善が少子化対策の観点からも必要であることが示唆される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
「次元の異なる少子化対策」として何を実施すべきか
政策効果を明示した上で、財源や負担の「社会的合意」を目指せ
2023年02月27日
-
希望出生率を実現するために必要な政策
「夫婦とも正規雇用の共働き」実現による子育て世帯の所得増を目指せ
2022年11月29日
-
第216回日本経済予測
少子化対策と金融政策の「次元」は変わるか①少子化対策、②賃上げ、③日銀金融政策、を検証
2023年02月20日
-
出生率の引き上げには在宅育児への支援強化も必要
医療保険属性別(被保険者・被扶養者別)の合計特殊出生率の推計
2023年02月01日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
米金融政策を占うジャクソンホール会議の注目点は?
市場が期待するほどの大幅な利下げの示唆は期待しにくい
2024年08月16日
-
ハリス氏はトランプ氏に勝てるのか?そして、米国経済の行方は?
トランプ氏の優勢は継続、トランプ・リスクの発現は議会選挙とトランプ氏の匙加減次第
2024年08月02日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「国債買入減額」と「追加利上げ」が長期金利と経済活動に与える影響は限定的か
2024年7月金融政策決定会合で日銀は金融緩和の縮小姿勢を明確化
2024年07月31日
-
「適温」なドル円相場は130円台?
ただし10円の円高で実質GDPは0.2%悪化
2024年08月14日
米金融政策を占うジャクソンホール会議の注目点は?
市場が期待するほどの大幅な利下げの示唆は期待しにくい
2024年08月16日
ハリス氏はトランプ氏に勝てるのか?そして、米国経済の行方は?
トランプ氏の優勢は継続、トランプ・リスクの発現は議会選挙とトランプ氏の匙加減次第
2024年08月02日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「国債買入減額」と「追加利上げ」が長期金利と経済活動に与える影響は限定的か
2024年7月金融政策決定会合で日銀は金融緩和の縮小姿勢を明確化
2024年07月31日
「適温」なドル円相場は130円台?
ただし10円の円高で実質GDPは0.2%悪化
2024年08月14日