サマリー
2022年の世界経済は数十年ぶりの高インフレ、その抑制を目的とした急ピッチの利上げ、インフレ加速の主因となったロシアのウクライナ侵攻と戦闘状態の長期化など、様々な逆風に直面した。一方、2020年、2021年の世界経済を翻弄した新型コロナウイルス感染症の影響度合いは、「ゼロコロナ」政策に固執した中国を別として、低下した。高インフレと金利上昇を背景に世界経済は減速傾向にあり、欧州ではマイナス成長が見込まれる。ただ、悪化の一途をたどってきた消費者や企業の景気見通しに若干ながら改善の動きが出てきた。原油や小麦など川上の価格低下がようやく川下に反映され始め、米欧のインフレ率にピークアウトの兆しがあることが一因だろう。12月にFRB、ECB、BOEはそろって利上げ幅の縮小に動いた。また、中国は12月に「ゼロコロナ」政策から「ウィズコロナ」政策への実質的な転換を図った。米欧のエネルギーや食品を除くコアインフレ率はまだ高水準にあり、金融政策も利上げ継続の方針を堅持している。中国では新規感染者が急増し、「ゼロコロナ」政策への揺り戻しの懸念が残る。風向きが変わることへのハードルはまだ高いが、上記のような変化の兆しに注目したい。
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