サマリー
◆日本では賃金面からの物価上昇圧力が弱く、ホームメイドインフレも見られないため、オイルショック期や現在の米国のようにインフレが高進する可能性は低い。資源価格などが横ばいで推移すると、コアCPIは2022年10-12月期の前年比+2%程度をピークに、2023年度にかけて伸び率が低下していく見通しである。その後は人手不足の深刻化などによって賃金上昇が続くことで、1%近いインフレ基調が継続するだろう。
◆交易条件の悪化による海外への所得流出額は2021年度に11兆円拡大した。2022年度はさらに8兆円程度拡大し、家計の直接的な負担増は3兆円程度になると試算される。家計は大幅に増加した貯蓄を取り崩すことで負担増に対応するだろう。一方、先行き不透明感の強まりなどを背景に、一部の必需的な品目では家計の低価格志向が強まっている。こうした品目では、選択的な品目に比べ価格転嫁が難しくなるとみられる。
◆賃金上昇率が高まっていくと、いずれ低インフレ基調から脱する可能性がある。そうなれば、日本銀行の目指す2%の物価安定目標の達成が視野に入るだろう。財政状況が極めて厳しい日本において金融政策が正常化すれば、長期金利が急騰し、財政運営に支障をきたす恐れがある。今後は物価と賃金の循環的な上昇を強化するとともに、民間企業の成長力の強化や、国・地方の基礎的財政収支の黒字化などを着実に進める必要がある。
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