サマリー
◆海外経済見通しの悪化を受け、日本の経済見通しを下方修正した。当社のメインシナリオでは、新型コロナウイルスワクチン追加接種の効果や経口治療薬の普及などもあって経済活動の正常化が進展するとの想定の下、実質GDP成長率は2022年度で+2.9%、2023年度で+1.9%と見込む。ただし、ウクライナ危機や感染状況、米国の金融政策、中国経済の停滞などにより景気が下振れするリスクは大きい。
◆2022年度は国内のサービス消費やインバウンド消費の回復余地、自動車の増産余地の大きさなどから、資源高の中でも景気回復が継続する見通しである。サービス消費が消費増税前の2019年7-9月期の水準まで回復すると、増加額は年率換算で10兆円程度(インバウンド消費分を除くと同7.6兆円程度)に上る。また、国内の乗用車の繰越需要は2022年4月末で1.5兆円程度と試算される。
◆通常の経済状況では、円安は日本経済にネットでプラスの影響を及ぼすとみられる。だが、円安がもたらすプラスの影響はウクライナ問題と感染拡大などによって発現しにくくなっている。こうした状況下で4-6月期以降の為替が1-3月期から10%の円安ドル高で推移する場合、2022年度の実質GDPへの影響は▲0.05%程度と推計される。足元で進む円安は「悪い円安」といえ、日本経済に与える悪影響には注意が必要だ。
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