サマリー
インフレ率は経済の健康状態を知る重要な手がかりの一つである。高すぎても低すぎても問題が生じるところは体温と似ている。そのインフレ率が「平熱」を大きく上回っている米欧では、昨年12月に英国BOEが、今年3月には米国FRBが利上げに踏み切り、その後も継続的に政策金利を引き上げている。また、ラガルドECB総裁も7月の利上げ開始を強く示唆する発言を行い、従来の慎重スタンスを修正した。これに対して、日本のインフレ率は4月に前年比+2.1%と日本銀行が目標とする+2%を久々に上回ったが、資源価格高騰と円安を原因とするコストプッシュインフレで、米英のような賃金上昇を伴った物価上昇ではいまのところない。日銀は緩和政策を継続すると予想される。いずれの中央銀行も「平熱」のインフレ率を目指し、その実現を担保する適度な経済成長を望んでいるが、新型コロナウイルス感染症やロシアによるウクライナ侵攻など中央銀行の政策では如何ともし難い要因が非常に多い昨今、悩みは深い。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
日本経済見通し:2022年5月
経済見通しを引下げ/サービス消費等の「伸びしろ」が景気を下支え
2022年05月24日
-
米国経済見通し 景気後退の真実味はいかほどか?
現時点で景気後退を確信するのは尚早
2022年05月24日
-
欧州経済見通し まとわりつく負のオーラ
ウクライナ侵攻の長期化によって、不透明さを払拭できず
2022年05月24日
-
中国:ゼロコロナ政策下の中国経済の行方
年後半は明確に回復も22年は4.5%程度の実質成長にとどまると予想
2022年05月24日
-
第213回日本経済予測
インフレ高進・ウクライナ危機下の世界経済の行方~①日インフレ、②米景気後退リスク、③世界的供給問題、を検証
2022年05月24日
同じカテゴリの最新レポート
-
国内旅行消費、押し上げの鍵は「分散化」
国・自治体・企業の連携で旅行の時期を分散し費用減と混雑の緩和を
2025年07月11日
-
経済指標の要点(6/18~7/11発表統計分)
2025年07月11日
-
有効求人倍率の低迷は実態を表しているのか?
業務統計であるが故のデータの振れや集計対象の偏りに注意
2025年07月09日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日