Well-being指標から浮かび上がる日本経済の課題

「新しい資本主義」実現には人材を「人財」と捉える取り組みが重要に

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2022年02月24日

  • 経済調査部 シニアエコノミスト 神田 慶司
  • 経済調査部 シニアエコノミスト 末吉 孝行
  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦
  • 経済調査部 エコノミスト 岸川 和馬

サマリー

◆OECDが作成しているWell-beingの指標(Better Life Index)から多面的に評価すると、日本は教育水準や平均寿命、治安などで世界トップクラスである。就業率や雇用の安定性も高い。それにもかかわらず付加価値が十分に生み出されていない。日本の生産性や賃金の低さには、ワークライフバランスや男女間の有償・無償労働の格差などが影響しているほか、人的資本への過小投資、成長産業・企業への労働移動の停滞なども一因とみられる。

◆「新しい資本主義」の実現には、希少性を増す人材を「人財」と捉える視点が一層求められ、働く意欲と能力のある多様な人材が活躍できる環境の整備を加速させる必要がある。これに関連して2022年度から施行される制度改正の効果を見極めるとともに、第3号被保険者制度の見直しや、家事労働の外部化を税制面から支援することなどの検討も必要だろう。さらに、企業による人的資本投資やリカレント教育の促進、地方で遅れているテレワークの普及、メンバーシップ型の雇用慣行の修正なども重要である。

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