サマリー
◆2021年4月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比▲0.1%とコンセンサス(同▲0.2%)を上回った。前年比下落率は縮小が続いてきたが、政府の要請を受けた携帯電話通信料の引き下げの影響が反映されたことで前月から横ばいとなった。エネルギー価格の影響を除いた新コアコアCPI(除く生鮮食品、エネルギー)は同▲0.2%と4ヶ月ぶりに前年割れした。ただし政策などの影響を除いて見れば、物価の基調は底堅く推移しているとみられる。
◆21年4月のコアCPIの前年比変化率の内訳を見ると、エネルギーが前年比プラスに転じた一方、サービスが全体を大きく押し下げた。サービスでは携帯電話通信料にあたる「通信料(携帯電話)」が前年比▲26.5%と大幅に低下し、コアCPI変化率を同0.6%pt下押しした。他方、高等教育無償化の影響が一巡したことで「大学授業料(私立)」などがプラス寄与に転じた。エネルギーでは原油価格の持ち直しを背景に「ガソリン」や「灯油」が大幅に上昇したほか、資源価格の動きが比較的遅れて反映される「都市ガス代」や「電気代」のマイナス幅が縮小した。
◆先行きの全国コアCPIの前年比変化率は、上昇要因と低下要因が拮抗する中でゼロ近傍での推移を見込んでいる。原油価格の上昇や輸入物価の上昇などが押し上げ要因となろう。他方、携帯電話通信料の引き下げによる物価への下押し圧力は今後も継続する見込みだ。
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