サマリー
◆2021年4月の東京都区部コアCPIは前年比▲0.2%だった。通信大手各社による値下げを受けた「通信料(携帯電話)」(同▲26.5%)の低下により、都区部コアCPIの前年比変化率は0.4%pt押し下げられた。仮に全国でも「通信料(携帯電話)」が同程度の前年比下落率となれば、全国コアCPIは同0.6%pt押し下げられる計算になる。
◆CPIの推移や見通しは政策要因によって大きく振れているが、これらの要因を除いた物価の基調は20年4月以降底堅く推移している。新型コロナウイルス感染症が拡大した当初は景気の急激な悪化によってデフレに陥ることが懸念されていたが、これに反して20年度の特殊要因を除くコアCPIは前年比+0.1%と、わずかながらもプラスの伸び率を維持した。
◆Go Toトラベル事業や携帯電話通信料の引き下げは短期的には物価を押し下げる効果があるが、家計の購買力が高まることで幅広い財やサービスの需要拡大を後押しするため、中長期的にはむしろ物価の基調を押し上げる要因になろう。携帯電話通信料の引き下げを踏まえ、当社では21年度の見通しを前年比▲0.1%と下方修正する。ただしこれは政策要因によるものであり、物価の基調は引き続き緩やかな回復を見込んでいる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4-6月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率+2.2%に高まるも民間在庫などが主因
2025年09月08日
-
一億自己啓発社会の死角
データが示す、転職志向・子育て・ジェンダーにおける格差
2025年09月05日
-
2025年7月消費統計
需要側統計は強いが供給側は弱く、総じて見れば前月から概ね横ばい
2025年09月05日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日