2020年7-9月期法人企業統計と2次QE予測

最悪期は脱するも、厳しい企業業績が続く/2次QEは上方修正を予想

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2020年12月01日

  • 鈴木 雄大郎

サマリー

◆2020年7-9月期の全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前年同期比▲11.5%、経常利益は同▲28.4%と大幅な減収減益となったが、マイナス幅はいずれも4-6月期から縮小した。日本をはじめ、各国での経済活動の再開に伴い、売上高、経常利益はいずれも4-6月期を底に回復傾向にあるものの、水準で見るといずれも低水準にとどまり、厳しい業況が続いているという評価になろう。

◆2020年7-9月期の全産業(金融業、保険業除く)の設備投資(ソフトウェア除く)は前年同期比▲11.6%と4四半期連続で減少した。資本ストックはコロナ禍前から調整局面入りしていることに加え、企業業績の悪化、感染収束の目途が立たないことでの先行き不透明感の増大によって企業の設備投資への慎重姿勢が強まっている。

◆先行きについて、企業収益は業種ごとに明暗が分かれるとみている。製造業は国内外の経済活動の再開に伴い緩やかながら改善傾向が続くだろう。他方、非製造業のうち対面や移動を伴うサービスは足元の感染再拡大を受け、企業業績が再び悪化する公算が大きい。非接触型のサービスの企業業績は回復基調が続くとみている。

◆設備投資の先行きについても、コロナ禍による先行き不透明感から、維持補修など必要最小限の投資が中心になり、弱い動きが当面続くことが見込まれる。とりわけ、機械投資や建設投資などの能力増強投資は、需要が回復せず、工場稼働率が高まらない中では期待しにくい。他方、ソフトウェア投資や研究開発投資は底堅く推移するとみられ、設備投資全体を下支えするとみている。

◆今回の法人企業統計の結果を受けて、2020年7-9月期GDP 2次速報(12月8日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率+21.6%と、1次速報(同+21.4%)から僅かに上方修正されると予想する。なお今回は基準改定、年次推計の結果も反映されるため、予測値には十分に幅を持って見る必要がある。

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