サマリー
◆2020年10月の生産指数は前月比+3.8%と5ヶ月連続で上昇し、市場予想を上回った。9月は回復ペースが加速したが、10月もそのペースを維持した。業種別に見ると、前月まで軟調に推移していた汎用・業務用機械工業のほか、自動車工業、電気・情報通信機械工業など幅広い業種が全体の上昇に寄与した。自動車工業は国内外の需要回復を受けて5ヶ月連続で上昇し、生産指数は感染拡大前(2020年1月)の水準を上回った。
◆11月以降の生産は振れを伴いながら、均せば緩やかな回復が続くだろう。ただし、国内外でのペントアップ需要の一服や、新型コロナウイルス感染拡大により一部の国でロックダウンが実施された欧州向け輸出の減少などにより回復ペースは鈍化が見込まれる。製造工業生産予測調査によると、11月は前月比+2.7%(計画のバイアスを補正した試算値(最頻値)は同+0.4%)と見込まれている。また、12月は同▲2.4%となっている。これまで生産指数の回復を牽引してきた自動車工業を含む輸送機械工業は、11月、12月ともに低下の見込みである。
◆2020年12月7日公表予定の10月分の景気動向指数は先行CIが前月差+2.3ptの94.8、一致CIは同+5.2ptの86.3と予想する。この見通しに基づくと、一致CIによる基調判断は現在の「下げ止まり」に据え置かれる。ただし、この予測は11月30日までに公表された指標を基にしており、法人企業統計や一般職業紹介状況などの指標の公表により実績値は大きく変わる可能性があることには注意が必要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
国内旅行消費、押し上げの鍵は「分散化」
国・自治体・企業の連携で旅行の時期を分散し費用減と混雑の緩和を
2025年07月11日
-
経済指標の要点(6/18~7/11発表統計分)
2025年07月11日
-
有効求人倍率の低迷は実態を表しているのか?
業務統計であるが故のデータの振れや集計対象の偏りに注意
2025年07月09日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日