2020年10月鉱工業生産

生産は堅調な回復が続くも、先行きは回復鈍化の見込み

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2020年11月30日

  • 経済調査部 エコノミスト 小林 若葉

サマリー

◆2020年10月の生産指数は前月比+3.8%と5ヶ月連続で上昇し、市場予想を上回った。9月は回復ペースが加速したが、10月もそのペースを維持した。業種別に見ると、前月まで軟調に推移していた汎用・業務用機械工業のほか、自動車工業、電気・情報通信機械工業など幅広い業種が全体の上昇に寄与した。自動車工業は国内外の需要回復を受けて5ヶ月連続で上昇し、生産指数は感染拡大前(2020年1月)の水準を上回った。

◆11月以降の生産は振れを伴いながら、均せば緩やかな回復が続くだろう。ただし、国内外でのペントアップ需要の一服や、新型コロナウイルス感染拡大により一部の国でロックダウンが実施された欧州向け輸出の減少などにより回復ペースは鈍化が見込まれる。製造工業生産予測調査によると、11月は前月比+2.7%(計画のバイアスを補正した試算値(最頻値)は同+0.4%)と見込まれている。また、12月は同▲2.4%となっている。これまで生産指数の回復を牽引してきた自動車工業を含む輸送機械工業は、11月、12月ともに低下の見込みである。

◆2020年12月7日公表予定の10月分の景気動向指数は先行CIが前月差+2.3ptの94.8、一致CIは同+5.2ptの86.3と予想する。この見通しに基づくと、一致CIによる基調判断は現在の「下げ止まり」に据え置かれる。ただし、この予測は11月30日までに公表された指標を基にしており、法人企業統計や一般職業紹介状況などの指標の公表により実績値は大きく変わる可能性があることには注意が必要だ。

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