先進国の財政拡大の余地はどの程度か

日本の財政余力は先進32ヶ国の中で2番目に小さい

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2019年11月22日

サマリー

◆財政余力とは、政府の資金調達や債務の持続可能性に問題が生じることなく、財政支出を拡大させる余地の大きさである。先進32ヶ国の財政余力を定量化した上で、景気刺激策の必要性を考慮すると、スウェーデンやドイツ、韓国などは財政余力も景気刺激策の必要性も大きい。反対に、日本や米国などは財政余力も景気刺激策の必要性も小さい。

◆財政余力は家計や企業にとっての「貯蓄」のようなものであり、財政余力が大きいからといって財政支出をむやみに拡大させてよいわけではない。経済状況が良い時には財政余力を高めつつ、景気悪化局面では財政政策を機動的に実施するといったメリハリを利かせた財政運営や、「ワイズ・スペンディング」の実践が政府には求められる。

◆人口減少・高齢化が長期的に見込まれる日本においては、社会保障分野など中長期的な歳出増への目配りがますます重要になってくる。財政支出の有効性を高めるためにも、例えば防災・減災関連の社会資本の整備や、先進技術や分散型エネルギーへの投資などに力点を置く必要がある。

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