サマリー
◆財政余力とは、政府の資金調達や債務の持続可能性に問題が生じることなく、財政支出を拡大させる余地の大きさである。先進32ヶ国の財政余力を定量化した上で、景気刺激策の必要性を考慮すると、スウェーデンやドイツ、韓国などは財政余力も景気刺激策の必要性も大きい。反対に、日本や米国などは財政余力も景気刺激策の必要性も小さい。
◆財政余力は家計や企業にとっての「貯蓄」のようなものであり、財政余力が大きいからといって財政支出をむやみに拡大させてよいわけではない。経済状況が良い時には財政余力を高めつつ、景気悪化局面では財政政策を機動的に実施するといったメリハリを利かせた財政運営や、「ワイズ・スペンディング」の実践が政府には求められる。
◆人口減少・高齢化が長期的に見込まれる日本においては、社会保障分野など中長期的な歳出増への目配りがますます重要になってくる。財政支出の有効性を高めるためにも、例えば防災・減災関連の社会資本の整備や、先進技術や分散型エネルギーへの投資などに力点を置く必要がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
-
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
-
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
-
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
-
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日