サマリー
◆2019年1月の企業関連の指標を見ると、鉱工業生産指数は、前月比▲3.7%と大幅な低下となり、低下は3ヶ月連続となった。経済産業省は基調判断を「緩やかな持ち直し」から「足踏みしている」へ下方修正した。他方、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、同▲5.4%と3ヶ月連続で減少した。業種別に見ると、製造業は同▲1.9%と3ヶ月連続で減少した。製造業のトレンドは、2018年半ばまでは、堅調な推移であったものの、足下ではピークアウトしている。非製造業(船舶・電力を除く)は、同▲8.0%と4ヶ月ぶりに減少した。2018年10月~12月に堅調に推移していた反動とみられる。
◆2019年1月の家計調査によると、実質消費支出は前月比+0.7%と2ヵ月ぶりに増加した。費目別に見ると、「住居」(同+14.7%)、「教養娯楽」(同+3.9%)が増加した。他方、1月の完全失業率(季節調整値)は前月から0.1%pt上昇し2.5%となった。有効求人倍率(同)は前月から横ばいの1.63倍となった。また、新規求人倍率(同)は前月から0.08pt上昇し、2.48倍となった。
◆今後発表される経済指標では、4月1日公表予定の3月日銀短観に注目している。2018年12月日銀短観では、大企業製造業の業況判断DI(最近)は+19%pt(前回:+19%pt)と市場コンセンサスの上限値を上回る結果となった。大企業非製造業の業況判断DI(最近)も+24%pt(前回:+22%pt)と前期から改善していた。3月日銀短観での景況感の好転は期待できないとみている。特に製造業は、中国をはじめとする世界景気の減速懸念を背景に、輸出金額が2018年11月から3ヵ月連続で減少するなど外需を中心に苦戦している。今後も外需は減少傾向が続くとみており、1、2月のロイター短観の結果等も踏まえると、3月日銀短観では大企業製造業は悪化する公算が大きい。大企業非製造業については、人件費の上昇など下押し要因もあるものの、堅調な消費に下支えされている格好だ。3月日銀短観でも大幅な悪化は考えにくく、横ばい圏での推移となるとみている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4月全国消費者物価
エネルギー高対策の補助縮小や食料価格高騰が物価を押し上げ
2025年05月23日
-
AI時代の日本の人的資本形成(個人編)
AI時代を生き抜くキャリア自律に向けた戦略
2025年05月22日
-
2025年3月機械受注
民需(船電除く)は事前予想に反して2カ月連続で増加
2025年05月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日