経済指標の要点(2/20~3/15発表統計分)

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2019年03月15日

  • 鈴木 雄大郎
  • 調査本部 渡邊 吾有子
  • 小林 俊介
  • 田中 大介

サマリー

◆2019年1月の企業関連の指標を見ると、鉱工業生産指数は、前月比▲3.7%と大幅な低下となり、低下は3ヶ月連続となった。経済産業省は基調判断を「緩やかな持ち直し」から「足踏みしている」へ下方修正した。他方、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、同▲5.4%と3ヶ月連続で減少した。業種別に見ると、製造業は同▲1.9%と3ヶ月連続で減少した。製造業のトレンドは、2018年半ばまでは、堅調な推移であったものの、足下ではピークアウトしている。非製造業(船舶・電力を除く)は、同▲8.0%と4ヶ月ぶりに減少した。2018年10月~12月に堅調に推移していた反動とみられる。

◆2019年1月の家計調査によると、実質消費支出は前月比+0.7%と2ヵ月ぶりに増加した。費目別に見ると、「住居」(同+14.7%)、「教養娯楽」(同+3.9%)が増加した。他方、1月の完全失業率(季節調整値)は前月から0.1%pt上昇し2.5%となった。有効求人倍率(同)は前月から横ばいの1.63倍となった。また、新規求人倍率(同)は前月から0.08pt上昇し、2.48倍となった。

◆今後発表される経済指標では、4月1日公表予定の3月日銀短観に注目している。2018年12月日銀短観では、大企業製造業の業況判断DI(最近)は+19%pt(前回:+19%pt)と市場コンセンサスの上限値を上回る結果となった。大企業非製造業の業況判断DI(最近)も+24%pt(前回:+22%pt)と前期から改善していた。3月日銀短観での景況感の好転は期待できないとみている。特に製造業は、中国をはじめとする世界景気の減速懸念を背景に、輸出金額が2018年11月から3ヵ月連続で減少するなど外需を中心に苦戦している。今後も外需は減少傾向が続くとみており、1、2月のロイター短観の結果等も踏まえると、3月日銀短観では大企業製造業は悪化する公算が大きい。大企業非製造業については、人件費の上昇など下押し要因もあるものの、堅調な消費に下支えされている格好だ。3月日銀短観でも大幅な悪化は考えにくく、横ばい圏での推移となるとみている。

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