2月消費統計

需要側統計から見た個人消費は、年初来持ち直しの動きが見られる

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2017年03月31日

  • 岡本 佳佑
  • 小林 俊介

サマリー

◆2017年2月の家計調査によると、実質消費支出は季節調整済み前月比+2.5%と2ヶ月連続で増加した。また、振れの大きい住居や自動車などを除いた実質消費支出(除く住居等)も同+0.2%と2ヶ月連続で増加した。


◆実質消費支出の動きを費目別に見ると、「住居」(前月比+25.8%)、「諸雑費」(同+4.6%)、「保健医療」(同+4.7%)などが前月から増加した一方、「教養娯楽」(同▲5.4%)、「家具・家事用品」(同▲8.5%)、「被服及び履物」(同▲7.3%)が減少した。


◆先行きの個人消費は、概ね横ばいでの推移を見込む。労働需給がタイトな状況の中、非製造業を中心とした労働需要の高まりから雇用者数が継続的に増加しており、マクロの賃金(=一人当たり賃金×雇用者数)が押し上げられると見込まれる点が個人消費の押し上げ材料である。一方、今年のベースアップ率は前年水準を下回る見通しであることや、昨秋来の生鮮食品の値上がりや原油価格の上昇などを背景に、消費者物価上昇率が前年比でプラスに転じている点が気がかりだ。物価の影響を考慮した実質賃金が伸び悩めば、個人消費は抑制されることとなろう。

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