サマリー
◆2016年12月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比▲0.2%となり、市場コンセンサス(同▲0.3%)を小幅に上回った。全国コアCPIは10ヶ月連続の前年比マイナスとなったものの、足下で持ち直しの動きが出始めている。
◆2017年1月の東京都区部コアCPI(中旬速報値)は、前年比▲0.3%と11ヶ月連続のマイナスとなったものの、マイナス幅を縮小させた。2017年1月の東京都区部コアCPIの結果を踏まえると、1月の全国コアCPIは前年比0.0%と見込まれる。
◆先行きの全国コアCPIの前年比は、マイナス幅を着実に縮小させる見込みであり、時期については幅を持ってみる必要があるものの、2017年2月頃からプラス圏に転じるとみている。最近の円安の影響に関しては、2015年に見られたような「値上げラッシュ」が再来する可能性も指摘できる。ただし、2015年に比べると、円安のみを起因とする値上げの動きは、耐久消費財を除いて限定的なものとなる可能性が高い。
◆以上のような全国コアCPIと日本銀行の参考系列である「生鮮食品とエネルギーを除くCPI」の動向を勘案すると、消費者物価は、日本銀行のインフレ目標に向けて緩やかに上昇すると見込まれる。ただし、それでもなお日本銀行の「2%」というインフレ目標のハードルは高く、今後も総じて緩和的な政策スタンスが維持されるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年10月貿易統計
トランプ関税の悪影響が継続。今後は米中リスクにも警戒が必要
2025年11月21日
-
2025年10月全国消費者物価
サービス価格や耐久消費財価格の上昇が物価上昇率を押し上げ
2025年11月21日
-
中国の渡航自粛要請は日本の実質GDPを0.1~0.4%下押し
今後は対中輸出などへの波及に要注意
2025年11月21日

