サマリー
米国の大統領選挙におけるトランプ氏の勝利は、グローバリゼーションの進展による国内の分断や格差拡大の帰結であると評されることが多い。だが、トランプ時代の米国では格差拡大が一段と進む懸念がある。所得税減税の恩恵をより多く享受するのは富裕層であるし、法人税減税がもたらす企業のキャッシュフローの増分は、株価上昇を通じ、持てるものを更に富ませる効果を持とう。また、中国やメキシコからの輸入品の関税引き上げによって、実質購買力の毀損に悩まされるのは、主に非富裕層である。類似のことはグローバルレベルでも当てはまる。トランプ政権による経済政策は先進国と新興国の成長パフォーマンスを二極化させる可能性が高いのである。既にドル高と表裏の関係にある新興国通貨安は、金融引き締めや緩和見送りなどを通じ、いくつかの新興国の成長見通しに暗雲を投げかけ始めている。無論、現在の米国株高や、それに追随し、またドル高にも触発された日本の株高が「根拠なき熱狂」であるとは思われない。格差拡大と株高は多くの場合親和性が高いからである。問題は、その持続性である。ポピュリスト・トランプ氏が、内外の分断を放置、或いは助長し、さらなる格差を志向するという根本的な矛盾が、いつ、どのように解消されるかを注視していく必要があろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
欧州経済見通し 注目される「トランプ効果」
①通商政策、②安全保障体制、③欧州のポピュリスト政党への影響
2016年11月22日
-
中国:今年は「没問題」、来年は内需減速へ
2016年は6.7%程度、2017年は6.4%程度の実質経済成長へ
2016年11月22日
-
米国経済見通し トランプ・ショック後の米国
期待が高まる一方で、新大統領の政策の実現性は依然不透明
2016年11月22日
-
日本経済見通し:トランプ・ショックで日本経済に何が起きるのか?
円高・株安、世界経済の減速で日本の実質GDPは0.71%程度下押しされる可能性
2016年11月22日
同じカテゴリの最新レポート
-
2026年4月全国消費者物価
高校授業料や小学校給食費の実質無償化によりサービス価格が抑制
2026年05月22日
-
2026年4月貿易統計
中東情勢の影響が数量・価格両面で本格化も収支黒字が継続
2026年05月21日
-
2026年3月機械受注
船電除く民需は前月の反動で減少したが、複数の大型案件が下支え
2026年05月21日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
いまさら人には聞けない 大量保有報告(5%ルール)のQ&A 【改訂版】
2024年金商法等改正法(2026年5月1日適用開始)を反映
2026年04月03日
-
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
-
企業が意識すべきCGコード改訂案のインプリケーション
「金融資産」「実物資産」がコードに入った意味
2026年04月16日
-
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
いまさら人には聞けない 大量保有報告(5%ルール)のQ&A 【改訂版】
2024年金商法等改正法(2026年5月1日適用開始)を反映
2026年04月03日
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
企業が意識すべきCGコード改訂案のインプリケーション
「金融資産」「実物資産」がコードに入った意味
2026年04月16日
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日

