サマリー
◆今年3月の第12期全国人民代表大会(全人代)第4回会議では、2016年の政府経済成長率目標を前年比6.5%~7%に設定し、2012年~2014年の同7.5%前後、2015年の7%前後から若干の下振れを容認した。国家統計局によると、2016年の実質GDP成長率は3四半期連続で前年同期比6.7%となり、10月の主要経済統計も中国の景気が底堅く推移していることを示している。
◆2016年1月~10月の固定資産投資は前年同期比8.3%増と、1月~7月、1月~8月の同8.1%増から僅かに上向いた。改善を牽引した不動産開発投資は、短期的にはさらに改善する可能性があるが、10月の国慶節前後に住宅価格抑制策を発表した都市が急増するなど中国政府は価格抑制への取り組みを本格化させている。住宅価格はそろそろピークアウトし、2017年春以降、不動産開発投資のモメンタムは低下していく可能性が高い。
◆2016年10月の実質小売売上は前年同月比8.8%増と、1月~9月の前年同期比9.8%増から減速した。国家統計局によると、2015年10月1日から実施されている排気量1.6L以下の乗用車に対する車両購入税半減措置(価格の10%⇒5%)の効果一巡の影響が大きく、これが10月の小売売上を0.5%ポイント押し下げた。2017年は減税効果の反動の本格化が懸念される。
◆今後、先進国景気の緩やかな回復が、中国の輸出改善を後押しする一方で、中国の内需減速により、輸入改善ペースは抑制されよう。貿易収支黒字はさらなる拡大が見込まれ、内需減速を外需回復がある程度補うことが期待できる。
◆米国の次期大統領トランプ氏は、かつて「中国を為替操作国に指定する」、「中国からの輸入に45%の高関税をかける」などと発言した。現地取材では、次期政権は現実路線を歩み、極端な政策は回避されるとの期待があった。しかし、新政権は米国第一主義を志向し、保護貿易的な傾向がどのような形で政策に表れるかは予断を許さず、リスク要因として認識しておく必要があろう。
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