サマリー
◆米国の次期大統領にトランプ氏が選出されたことを、欧州では6月のBrexit(英国のEU離脱)決定に続く新たな不透明要因と捉えている。欧州において注目されているのは①通商政策、②安全保障体制に関して、トランプ大統領が選挙戦で主張してきたような抜本的な見直しに動くのか、それともより穏健な政策に軌道修正するのかということである。また、英米で反主流派と見なされてきた勢力が勝利した流れが、来年にかけて主要国で選挙が相次ぐ欧州にどのような波及効果を持つかも注目される。
◆英国ではBrexit実現に向けた交渉の開始が待たれているが、EU離脱通告がメイ首相の表明した「2017年3月末」よりも遅れる可能性が出てきた。11月初めに高等法院が離脱通告前に英国議会の承認を得るべきとの判決を下したためである。政府の判断で通告可と主張する政府は最高裁に上告したが、判決は2017年初めと見込まれ、また最高裁が高等法院の判断を追認する可能性もある。
◆英国、ユーロ圏とも7-9月期のGDP成長率は堅調な伸びとなり、Brexit懸念が景気の急速な冷え込みを招いてはいないことが確認された。ただし、ポンド安で英国の物価上昇圧力が高まっており、今後の消費減速要因になると見込まれる。また、トランプ大統領誕生は米国で株高、ドル高、長期金利上昇をもたらしたが、欧州でも長期金利が上昇に転じた。懸念されるのが、一部の国の国債とドイツ国債とのスプレッド拡大が目立つことで、中でも12月4日の国民投票の行方が不透明なイタリアでスプレッドが拡大している。金融市場が政治リスクに敏感になっていることがうかがえる。
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