サマリー
◆日銀短観(2016年9月調査)では、大企業製造業の業況感の停滞が続き、大企業非製造業の業況感も鈍化傾向が鮮明になるなど、経営環境に対して向かい風が続いていることが明らかになった。業況感に比べて設備投資は底堅さが示されたと評価するものの、先行きについては、企業業績の悪化に伴う下振れリスクに注意したい。
◆大企業製造業の「業況判断DI(最近)」は+6%ptと前回(+6%pt)から横ばいとなり、市場コンセンサス(+7%pt)を小幅に下回った。大企業非製造業の「業況判断DI(最近)」は+18%ptと前回調査(+19%pt)から小幅に悪化し、市場コンセンサス(+18%pt)通りの結果となった。
◆大企業全産業の2016年度の売上高計画は前年度比▲1.6%、経常利益計画は前年度比▲9.2%となった。輸出の停滞や個人消費の弱さなどを受けて、売上高と経常利益計画のいずれも下方修正された。特に、大企業製造業において、経常利益計画の修正率が▲3.3%となり、前回大きく下方修正されたのに続いて再度下方修正された点が懸念される。
◆全規模全産業の2016年度の「設備投資計画(含む土地、除くソフトウェア)」は、前年度比+1.7%と前回(同+0.4%)から上方修正された。9月日銀短観の設備投資計画には、中小企業を中心に上方修正されるという「統計上のクセ」があるが、今回はおおむね例年のパターンの範囲内だと考えている。ただし、中小企業製造業において、過去の修正パターンよりかなり弱い動きが見られる点に注意が必要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
米金融政策を占うジャクソンホール会議の注目点は?
市場が期待するほどの大幅な利下げの示唆は期待しにくい
2024年08月16日
-
ハリス氏はトランプ氏に勝てるのか?そして、米国経済の行方は?
トランプ氏の優勢は継続、トランプ・リスクの発現は議会選挙とトランプ氏の匙加減次第
2024年08月02日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「国債買入減額」と「追加利上げ」が長期金利と経済活動に与える影響は限定的か
2024年7月金融政策決定会合で日銀は金融緩和の縮小姿勢を明確化
2024年07月31日
-
「適温」なドル円相場は130円台?
ただし10円の円高で実質GDPは0.2%悪化
2024年08月14日
米金融政策を占うジャクソンホール会議の注目点は?
市場が期待するほどの大幅な利下げの示唆は期待しにくい
2024年08月16日
ハリス氏はトランプ氏に勝てるのか?そして、米国経済の行方は?
トランプ氏の優勢は継続、トランプ・リスクの発現は議会選挙とトランプ氏の匙加減次第
2024年08月02日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「国債買入減額」と「追加利上げ」が長期金利と経済活動に与える影響は限定的か
2024年7月金融政策決定会合で日銀は金融緩和の縮小姿勢を明確化
2024年07月31日
「適温」なドル円相場は130円台?
ただし10円の円高で実質GDPは0.2%悪化
2024年08月14日