サマリー
◆2015年9月の企業関連の指標は、一部に持ち直しの兆しが見られる内容であった。鉱工業生産指数は前月比+1.1%と3ヶ月ぶりに上昇した。機械受注では、民需(船舶・電力除く)が前月比+7.5%となり、4ヶ月ぶりに前月を上回った。第3次産業活動指数は前月比▲0.4%と4ヶ月ぶりに低下した。
◆2015年9月の家計関連の指標を見ると、個人消費が弱い動きを示した。一方、労働需給はタイトな状況が続いていることが確認された。実質消費支出は前月比▲1.3%と減少した。完全失業率(季節調整値)は前月から横ばいの3.4%となった。有効求人倍率(季節調整値)は前月から+0.01pt上昇し1.24倍となった。
◆12月14日に発表される日銀短観では、業況感などの企業マインドの変化を業種別に注意深くチェックしたい。全規模製造業では、9月調査の業況判断DI(最近)において、鉄鋼や非鉄などのセクターは低調であった。これらの業種では市況価格の下落により取り巻く経済環境は厳しい。こうした状況下、同業種の業況感が低調と出るか否かに注目している。一方、全規模非製造業で見ると、9月調査の業況判断DI(最近)では、小売業や宿泊・飲食サービスといった業種の業況感が改善した。実質賃金(前年同月比)の増加傾向が継続し、個人消費を取り巻く環境は良好で、先行きの個人消費を下支えするだろう。これが業況感の改善に寄与すると考えられる。また、インバウンド需要も旺盛でサービス業を中心に追い風が吹いている。こうした状況下で、これらの業種の業況感の改善が継続するか否かは注目である。また、海外需要が最悪期を脱しつつあり、底打ち感が見られる輸出動向の先行きを占う意味でも、海外での製商品需給判断DIが改善するか否かにも注目している。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
2025年12月日銀短観予想
輸出不振や原材料高で製造業の業況判断DI(最近)は悪化を見込む
2025年12月10日
-
2025年7-9月期GDP(2次速報)
設備投資などが減少し、実質GDPは前期比年率▲2.3%に下方修正
2025年12月08日
最新のレポート・コラム
-
中国:来年も消費拡大を最優先だが前途多難
さらに強化した積極的な財政政策・適度に緩和的な金融政策を継続
2025年12月12日
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
-
12月金融政策決定会合の注目点
2025年12月12日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

