6月全国消費者物価

東京コアがマイナスに転じるも、物価面からは追加金融緩和が遠のく

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2015年07月31日

  • 金融調査部 主任研究員 長内 智
  • 小林 俊介

サマリー

◆2015年6月の全国コアCPI(除く生鮮食品、以下コアCPI)は前年比+0.1%と、市場コンセンサス(同+0.0%)を小幅に上回った。総じて見ると、コアCPIの前年比はゼロ近傍での推移が続いており、日本銀行の2%のインフレ目標や政府の目指す「デフレ脱却」には程遠い状況にある。


◆2015年7月の東京コアCPI(中旬速報値)は、前年比▲0.1%(前月同+0.1%)と、2013年4月以来27ヶ月ぶりのマイナスに転じた。東京コアCPIの結果を踏まえると、7月のコアCPIは前年比▲0.1%となる見込みである。


◆先行きのコアCPIの前年比は、昨年夏場以降の原油安に伴うエネルギー価格の下押し圧力が残ることから、当面ゼロ近傍での推移が見込まれる。さらに、エネルギー価格の下押し圧力が高まると見込まれる夏場は、小幅なマイナス圏での推移になるとみている。


◆日本銀行は7月の金融経済月報において「生鮮食品とエネルギーを除くCPI」を参考指標として公表し、足下で大きくマイナスに寄与しているエネルギー価格を除外した指標を活用して消費者物価の基調判断を行う姿勢を明らかにした。日本銀行の参考指標(大和総研による試算値)の前年比を確認すると、2015年1月以降の値上げラッシュなどを背景に、コアCPIとは対照的に底堅く推移していることが分かる。

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