サマリー
◆2014年3月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+1.8%と13ヶ月連続の増加となった。市場コンセンサス(同+6.5%)を下回り、輸出の低調な推移を表す結果であった。輸出価格は前年比+4.4%と、上昇が続く一方で、輸出数量が同▲2.5%と2ヶ月ぶりに前年を下回ったことが、輸出の押し下げ要因となっている。輸出金額を季節調整値で見ても、前月比▲2.7%と2ヶ月ぶりの減少となった。
◆輸出数量指数を季節調整値で見ると(季節調整は大和総研)、前月比▲2.0%と2ヶ月ぶりの低下となった。EU向けが同▲2.9%、アジア向けが同▲4.9%と減少したことが、全体を押し下げた模様である。米国向けは同+2.4%と、2ヶ月ぶりの増加となった。
◆先行きに関しては、輸出数量の持ち直し傾向が徐々に鮮明となる見込みである。消費税増税前の駆け込み需要に備えて、国内工場の稼働ラインは国内出荷向けに振り向けられていた。しかし、2014年4月以降は、反動減に伴う国内向け出荷の減少とともに、徐々に輸出向け出荷の割合も回復する見込みである。
◆3月の輸入金額は、前年比+18.1%と17ヶ月連続で前年を上回った。輸入価格は同+5.8%と、上昇が続くものの上昇幅は縮小傾向にある。3月の輸入金額の増加は、輸入数量の大幅増加(前年比+11.6%)によるところが大きい。この結果、貿易収支は▲1兆4,463億円と、21ヶ月連続の赤字となった。また、2013年度の貿易収支は、▲13兆7,488億円と過去最大の赤字となった。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
貿易収支赤字の要因③~円安効果、Jカーブ効果の現状
円安による輸出押し上げ効果は徐々に生じ始めている
2014年03月12日
-
貿易収支赤字の要因②~空洞化が赤字拡大の主因
空洞化の影響で貿易収支赤字は7兆円程度拡大
2014年03月11日
-
貿易収支赤字の要因①~原発停止で4兆円赤字拡大
原発停止は2013年のエネルギー輸入金額を4兆円程度押し上げ
2014年03月10日
同じカテゴリの最新レポート
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
2025年12月日銀短観予想
輸出不振や原材料高で製造業の業況判断DI(最近)は悪化を見込む
2025年12月10日
-
2025年7-9月期GDP(2次速報)
設備投資などが減少し、実質GDPは前期比年率▲2.3%に下方修正
2025年12月08日
最新のレポート・コラム
-
中国:来年も消費拡大を最優先だが前途多難
さらに強化した積極的な財政政策・適度に緩和的な金融政策を継続
2025年12月12日
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
-
12月金融政策決定会合の注目点
2025年12月12日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

