サマリー
◆2013年の貿易収支は11.5兆円の赤字となり、過去最大の赤字幅を記録した。本レポートは、その要因を分析するレポートの第2弾である。
◆貿易収支赤字幅の拡大には様々な要因があるが、筆者は空洞化が赤字幅拡大のもっとも大きな要因であると考えている。リーマン・ショック以降、日本の輸出金額と海外現地法人の売上高の動きには乖離が生じている。足下では、誘発輸出が減少している一方で、逆輸入が増加するなど、企業の海外進出に過去と異なる動きが見られている。これはもはや単なる海外進出ではなく、空洞化と呼ぶに値する動きと言えるのではないだろうか。
◆誘発輸出の減少と逆輸入の増加によって、2013年の貿易収支赤字幅は7兆円拡大したと試算される。また、今後も空洞化の動きが続けば、貿易収支赤字幅はさらに拡大が見込まれる。法人税の実効税率引き下げや、国家戦略特区の設立による規制緩和の推進などを通じて、国内の事業環境を大きく改善させるような施策が強く求められているといえよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
経常収支の先行きをどう見るか
第一次所得収支黒字幅の拡大を主因として経常収支は黒字幅拡大へ
2014年04月04日
-
貿易収支赤字の要因③~円安効果、Jカーブ効果の現状
円安による輸出押し上げ効果は徐々に生じ始めている
2014年03月12日
-
貿易収支赤字の要因①~原発停止で4兆円赤字拡大
原発停止は2013年のエネルギー輸入金額を4兆円程度押し上げ
2014年03月10日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年5月消費統計
実質消費支出は上振れも、総じて見れば前月から概ね横ばい
2025年07月04日
-
消費データブック(2025/7/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年07月02日
-
2025年6月日銀短観
業況判断DI(最近)は底堅いが、先行きへの強い警戒が示された内容
2025年07月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日