サマリー
◆2012年9月の企業関連の指標は、総じて足元の減速傾向が継続していることを確認する内容であった。鉱工業生産指数(季節調整値)は、前月比▲4.1%と3ヶ月連続のマイナスとなり、弱い動きが継続している。輸出金額は前年比▲10.3%と4ヶ月連続のマイナスとなった。欧州、アジア向けの減速に加え、米国向けに関してもこのところ減速感が見られていることから、輸出全体として弱含むという構造が続いている。機械受注(船舶・電力を除く民需)前月比▲4.3%と2ヶ月連続で減少した。企業関連の指標の先行きは、米中を中心とする海外経済の回復を待って、年明け以降に徐々に回復に向かうとみている。
◆2012年9月の家計関連の指標は、有効求人倍率の低下を筆頭に、低調な結果であったと言える。実質消費(除く住居等)は前年比▲0.9%と8ヶ月ぶりのマイナスとなった。供給側統計からは、エコカー補助金終了に伴う自動車販売金額の減少も顕著に確認できる。完全失業率(季節調整値)は4.2%となり、前月と同水準であった。有効求人倍率は0.81倍となり前月から0.02pt低下した。有効求人倍率の悪化は2009年7月以来、3年2ヶ月ぶりのことである。現金給与総額は、前年比▲0.5%と2ヶ月ぶりのマイナスとなった。先行きは、年明け以降に見込まれる生産の回復までは、所得、雇用、消費環境は低調な推移が継続するものと考えている。
◆今後発表される統計では、12月14日に発表される日銀短観に注目している。景気は3月を山として後退局面入りした可能性が高まっているが、これまで日銀短観における業況判断DIは底堅い動きを見せていた。先行き判断DIも高水準であったが、海外需要判断が上振れていたものであると考えられるため、12月短観ではあらゆる指標で大幅な下方修正が見込まれる。特に、設備投資計画、雇用判断などへの波及がどの程度起こっているかどうかを確認したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
経済指標の要点(5/22~6/18発表統計分)
2019年06月18日
-
経済指標の要点(6/19~7/24 発表統計分)
2012年07月24日
-
経済指標の要点(7/25~8/21 発表統計分)
2012年08月21日
-
経済指標の要点(8/22~9/18 発表統計分)
2012年09月20日
-
経済指標の要点(9/19~10/18 発表統計分)
2012年10月19日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
サステナビリティ情報の保証をめぐる動向
ISSA5000の公表、各国の規制、わが国での検討状況
2024年12月04日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第3版)
様々な物価・賃金指標を用いる案および住民税分離案を検証
2024年12月04日
-
消費データブック(2024/12/3号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2024年12月03日
-
DB運用見える化と従業員ファイナンシャル・ウェルネスの向上
事業主に求められるDB情報周知の強化と金融経済教育機会の充実
2024年12月03日
-
上場廃止と従業員エンゲージメント
2024年12月04日
よく読まれているリサーチレポート
-
学生の「103万円の壁」撤廃による就業調整解消は実現可能で経済効果も大きい
学生61万人の就業調整解消で個人消費は最大0.3兆円増の可能性
2024年11月11日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算
基礎控除を75万円引上げると約7.3兆円の減税
2024年11月05日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第2版)
「基礎控除引上げ+給与所得控除上限引下げ案」を検証
2024年11月08日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
-
トランプ2.0で激変する米国ESG投資政策
年金制度におけるESG投資の禁止、ESG関連開示制度の撤廃など
2024年11月07日
学生の「103万円の壁」撤廃による就業調整解消は実現可能で経済効果も大きい
学生61万人の就業調整解消で個人消費は最大0.3兆円増の可能性
2024年11月11日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算
基礎控除を75万円引上げると約7.3兆円の減税
2024年11月05日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第2版)
「基礎控除引上げ+給与所得控除上限引下げ案」を検証
2024年11月08日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
トランプ2.0で激変する米国ESG投資政策
年金制度におけるESG投資の禁止、ESG関連開示制度の撤廃など
2024年11月07日