サマリー
◆企業関連の指標は、回復基調から踊り場局面への転換を予感させる内容であった。鉱工業生産指数は前月比▲3.4%と2ヶ月連続のマイナスとなり、前月からマイナス幅も拡大した。輸出金額は、前年比+10.0%と3ヶ月連続でのプラスとなった。米国向け輸出は堅調な推移が続いているものの、EU向けの輸出は低水準での推移が続いているなど先行き不透明感が根強い。機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比▲14.8%と2ヶ月ぶりのマイナスとなった。製造業、非製造業ともに弱く、来月以降の数字を注視する必要があるだろう。先行きは、一時的な振れを伴うとみられるものの、復興需要等を背景に、企業関連の指標は推移するとみている。
◆家計関連の指標は雇用・所得・消費環境の緩やかな持ち直しが続いていると見られる内容であった。消費は前年比+4.0%と4ヶ月連続のプラスとなった。失業率は前月から0.2%pt改善し、有効求人倍率も前月から0.02pt改善した。現金給与総額は前年比▲1.1%と、4ヶ月ぶりのマイナスとなったが、特別給与の振れによるものであり、「きまって支給する給与」で見れば前年比+0.4%と改善が続いている。先行きは、企業業績の改善を通じて雇用・所得・消費環境は緩やかな持ち直しが続くとみている。
◆今後発表される統計では、8月13日に公表される4-6月期GDP一次速報に注目したい。足下では回復の続く消費など、内需は堅調に推移している。復興需要の進捗状況などを含めて、先行き不透明感が高まる中、現在の経済環境を再確認したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
メタバースは本当に幻滅期で終わったか?
リアル復権時代も大きい将来性、足元のデータや活用事例で再確認
2025年06月11日
-
2025年1-3月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率▲0.2%に改善するも民間在庫が主因
2025年06月09日
-
2025年4月消費統計
総じて見れば前月から概ね横ばい、先行きも横ばい圏で推移しよう
2025年06月06日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日