経済指標の要点(6/19~7/24 発表統計分)

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2012年07月24日

  • 齋藤 勉
  • 経済調査部 シニアエコノミスト 増川 智咲

サマリー

◆企業関連の指標は、回復基調から踊り場局面への転換を予感させる内容であった。鉱工業生産指数は前月比▲3.4%と2ヶ月連続のマイナスとなり、前月からマイナス幅も拡大した。輸出金額は、前年比+10.0%と3ヶ月連続でのプラスとなった。米国向け輸出は堅調な推移が続いているものの、EU向けの輸出は低水準での推移が続いているなど先行き不透明感が根強い。機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比▲14.8%と2ヶ月ぶりのマイナスとなった。製造業、非製造業ともに弱く、来月以降の数字を注視する必要があるだろう。先行きは、一時的な振れを伴うとみられるものの、復興需要等を背景に、企業関連の指標は推移するとみている。

◆家計関連の指標は雇用・所得・消費環境の緩やかな持ち直しが続いていると見られる内容であった。消費は前年比+4.0%と4ヶ月連続のプラスとなった。失業率は前月から0.2%pt改善し、有効求人倍率も前月から0.02pt改善した。現金給与総額は前年比▲1.1%と、4ヶ月ぶりのマイナスとなったが、特別給与の振れによるものであり、「きまって支給する給与」で見れば前年比+0.4%と改善が続いている。先行きは、企業業績の改善を通じて雇用・所得・消費環境は緩やかな持ち直しが続くとみている。

◆今後発表される統計では、8月13日に公表される4-6月期GDP一次速報に注目したい。足下では回復の続く消費など、内需は堅調に推移している。復興需要の進捗状況などを含めて、先行き不透明感が高まる中、現在の経済環境を再確認したい。

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