サマリー
◆【概況】貿易収支の赤字幅が拡大 : 2012年4月の貿易統計は、貿易収支の赤字基調の継続や財政問題を抱えるEU向け輸出の低迷など、先行き不透明感が残る内容であった。4月の輸出金額は前年比+7.9%と市場コンセンサスを下回ったものの、東日本大震災によって昨年に大きく落ち込んだ反動増の影響でプラス幅が拡大した。貿易収支は▲5,203億円と2ヶ月連続の赤字となった。
◆【地域・品目別動向(名目)】米国向けが好調を維持 : 主要品目別にみると、輸出が増加した業種では、昨年の落ち込みからの反動によって「輸送用機器」が前年比+81.9%と3ヶ月連続で増加し、プラス幅も前月から大きく拡大した点が注目される。他方、アジア地域で景気減速感が強まっていることやEU向けの低迷を受けて、「化学製品」は前年比▲16.1%と8ヶ月連続の減少となった。主要国・地域別の輸出金額は、米国向けが前年比+42.9%、EU向けが同▲1.9%、アジア向けが同▲2.6%となった。
◆【今後の見通し】EU向け輸出に下振れリスク : 輸出は、横ばい圏での動きがしばらく継続すると考えている。緩やかに景気回復が続く米国向け輸出は底堅く推移する見込みであり、金融緩和政策による景気下支え効果が今後期待される新興国向けの輸出は徐々に改善していくと想定する。他方、5月に実施されたギリシャ総選挙の結果に起因して、欧州債務問題が再燃しているため、低迷が続くEU向け輸出については下振れリスクが高まっている。また、当社の貿易収支の長期見通しでは、貿易赤字は徐々に縮小して、黒字基調に復していくことを見込む。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年3月雇用統計
失業率は上昇するも、求人倍率が上昇するなど雇用環境は悪くない
2025年05月02日
-
消費データブック(2025/5/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年05月02日
-
2025年1-3月期GDP(1次速報)予測 ~前期比年率+0.5%を予想
外需が下押しも内需は堅調/小幅ながら4四半期連続のプラス成長
2025年04月30日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日