10月貿易統計~輸出が足踏み

海外経済減速の影響が顕在化

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2011年11月21日

サマリー

【概況】輸出は3ヶ月振りのマイナス:2011年10月の貿易統計は、東日本大震災後の大幅な減少から着実に持ち直してきていた輸出が足踏みし、先行き不透明感が高まる内容であった。輸出金額は前年比▲3.7%と3ヶ月振りのマイナスとなり、市場コンセンサスも大きく下回った。海外経済の減速、円高の長期化などによって、輸出回復にブレーキが掛かった格好である。他方、輸入金額は、輸入価格の高止まりや原子力発電所事故・稼働停止問題に伴う代替燃料の需要増加を背景に、前年比+17.9%と22ヶ月連続のプラス。この結果、貿易収支は▲2,738億円と2ヶ月振りの赤字となった。

【地域・品目別動向(名目)】電気機器の弱含みが続く:主要品目別の輸出金額では、世界的なIT関連製品の需要鈍化の影響で「電気機器」が前年比▲12.3%と8ヶ月連続のマイナスとなった点が注目される。電気機器については、日本の輸出に先行する韓国と台湾の電子部品の出荷・在庫バランスが弱含み傾向にあることや、中国の電気機械の輸出が鈍化している点にも注意が必要であろう。また、「一般機械」が前年比▲5.7%と2ヶ月連続でマイナスとなった。アジア地域の景気減速の影響が顕在化し始めた可能性がある。

【今後の見通し】輸出は短期的に横ばい圏で推移:輸出の先行きは、短期的に横ばい圏での動きとなる公算である。世界景気と為替からみた日本の輸出数量の推計値(当社推計)が低下傾向を続けていることから窺えるように、海外経済の減速が輸出の重石となっているためである。また、欧州の財政危機に伴う金融市場の混乱は実体経済へ波及し始めており、日本の輸出における下振れリスクとして強く意識する必要がある。タイの大洪水に関しては依然として不確実な要素が多いが、日本の輸出に対する影響はさほど深刻なものとはならないと想定する。

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