サマリー
◆インドネシアの2025年7-9月期の実質GDP成長率は、前年比+5.12%と前期(同+5.04%)からほぼ横ばいだった。米国による相互関税発動後も輸出が堅調であった一方、内需の弱さが比較的目立った。背景には、社会保障の対象外となりやすい非正規雇用者の割合が拡大傾向にある等の雇用問題があると考えられる。
◆これに対し、プラボウォ政権が注力しているのは教育、栄養、ヘルスケア、農村協同組合といった社会福祉セクターである。2026年予算では、全体の約23%がこれらに充てられた。他方で、雇用創出ドライバーとなり得る、インフラ投資や産業政策は手薄になったように思われる。2026年予算では、資本支出の予算規模(対GDP比)が前年と比べて縮小したほか、地方のインフラ整備の原資ともなる地方交付金が大きく減額された。消費者マインドの弱さの根底にある雇用問題の解決には、財政支出バランスの見直しが必要となるだろう。
◆2026年に求められる政策は、①VATの引き下げ、②政府系ファンド「ダヤ・アナガタ・ヌサンタラ(ダナンタラ)」の透明性向上も併せた、インフラ支出の着実な執行、③ニッケル資源の川下化からさらに踏み込んだ産業政策ビジョンの提示、の3点である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
「中所得国の罠」回避のカギは?
~アジアの前例からベトナムへのインプリケーション~『大和総研調査季報』2026年春季号(Vol.62)掲載
2026年04月24日
-
原油高・リスクオフ下での新興国の耐性は
脆弱性が最も懸念されるのは南ア。耐性が高いのはブラジル
2026年04月06日
-
インド2026年度予算案:インフラ投資に軸足を移す
戦略的自律性を意識した攻めの姿勢を評価。債務管理を注視
2026年02月05日
最新のレポート・コラム
-
令和8年金商法等改正法案 スタートアップ企業への資金供給の促進に関する改正案
有価証券届出書の提出免除基準の引き上げや特定投資家私募の対象拡大
2026年04月30日
-
令和8年金商法等改正法案 サステナビリティ情報の開示・保証に関する改正案
セーフハーバー・ルールや第三者保証に関する規定を整備
2026年04月30日
-
2026年1-3月期GDP(1次速報)予測~前期比年率+3.3%を予想~
設備投資は減少も、個人消費と輸出に支えられ2四半期連続のプラス
2026年04月30日
-
FOMC 3会合連続で金利据え置きを決定
パウエル議長の任期満了、次期議長下での注目点は?
2026年04月30日
-
デジタルマネーは決済の主役になれるのか ~先行事例から考える普及要素~
特集記事「Web3・デジタルアセットが開く新世界」シリーズ
2026年04月28日
よく読まれているリサーチレポート
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日

