新興国マンスリー(2017年6月)トランプ氏の政策不調が支える世界の株高

~景気刺激は株価の敵か~

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2017年06月05日

  • 児玉 卓
  • 経済調査部 経済調査部長 齋藤 尚登
  • 山崎 加津子
  • 経済調査部 シニアエコノミスト 増川 智咲
  • 経済調査部 主任研究員 新田 尭之
  • 永井 寛之

サマリー

◆タオルミナ・サミットが示唆するように、国際社会は当面、広範な「協調」不在の状況が続く可能性が高くなっている。またサミットにおいてその重要性が謳われた「互恵的な貿易関係」は、輸出を善(売上)、輸入を悪(費用)と捉え、貿易赤字を国家の損失とみるトランプ氏に、他国に対して対米貿易不均衡是正を迫る、格好の口実に使われる可能性がある。それは、80年代の日米貿易摩擦の時期のように、日中独などに対する輸出の削減(のための対米投資)、輸入の増加(のための内需拡大?)などの要求を硬化させる可能性を持つ。


◆一方、短期的には米国が良くも悪くも世界的な株高を演出している。完全雇用が着実に近づきながらも賃金上昇率が加速せず、利上げのペースは抑制された状態にある。そして、トランプ政権の政策執行能力の不足が、景気拡大を延命させている。その意味で現在警戒すべきは、米国の内政が予期に反して動き出し、減税等の景気刺激策が具体化することである。

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