サマリー
◆2024年9月24日、中国人民銀行(中央銀行、以降人民銀行と記載)の潘功勝総裁がさらなる金融緩和など追加景気刺激策の実施を「予告」して、注目された。預金準備率や政策金利の引き下げ、既存の住宅ローン金利や2軒目の頭金の割合の引き下げ、さらには株式のPKO(Price Keeping Operation)に人民銀行が資金面で関与することなどが発表された。
◆中国では、2024年7月25日の「大規模設備更新と消費財買い替えへの支援強化に関する若干の措置」や、今回の一連の金融緩和と住宅市場テコ入れ策などの政策が矢継ぎ早に発表されている。それぞれ数カ月前に発表された政策をさらに強力にしたものとなっている。ここで注意しなければならないことが2つある。ひとつはわずか数カ月のうちによりパワーアップした政策を打ち出さなければならない程、景気の減速感が強まっていることである。もうひとつは政策の効果への評価だ。自動車や家電買い替えへの補助金政策は奏功する可能性が高いが、需要の先食いであり、将来的にはその反動減が懸念される。また一方の住宅市場テコ入れ策の効果には疑問符が付く。筆者は、一連の政策は株価対策を除いて、目新しいものではなく、追加的な効果は限定的だとみているが、良い方に外れることを期待している。
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