2026年07月03日
サマリー
◆円安・ドル高が進行し、足元では1986年以来の安値となった。市場では、政府・日銀による為替介入の動向に注目が集まっている。
◆2026年4月30日から5月6日にかけて、ドル円為替レートは、複数回急激に円高方向へ変動し、円買い・ドル売り介入が行われた。財務省の公表によると、4月28日から5月27日の期間で、合計で約11.7兆円の為替介入があった。本稿では、為替介入の仕組みや、関係機関のバランスシートの動きについて整理する。
◆為替介入は財務大臣の指示の下、外国為替資金特別会計(以下、外為特会)の資金を用いて日銀が実務を担う。介入前には、要人発言(口先介入)、三者会合、レートチェックなどが行われることが多く、市場への警戒シグナルとなる。
◆為替介入は、できるだけ対象となる通貨の取引量が少なく、少量の介入で大きな価格変化を狙えるタイミングで行うことが効果的と考えられる。今回の介入でも、比較的円の取引が少ない日本時間の平日夕方から夜や、休日に介入が行われた模様だ。
◆為替介入、特に円買い・ドル売り介入には限界がある。外為特会が保有する外貨資産のうち、すぐにドル売り介入に使用できる外貨預金は1,622億ドル(2026年5月末時点)と限定的だ。大規模介入が繰り返されると、たとえ外貨準備残高が十分に大きくても、外貨準備の減り方に注目が集まり、為替介入の効果の限界が意識されるようになる可能性もある。
◆また、大規模かつ頻繁な為替介入は、日本政府による米国債売却を連想させ、米長期金利の上昇を招く可能性もある。為替を安定的に推移させるためには、持続可能な財政構造の確立に向けた道筋を示し、財政運営に対する信認を維持するとともに、金融政策面では、ビハインドザカーブ(政策対応が後手に回る状態)にならないよう、機動的な利上げが必要だろう。
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