2018年04月12日
サマリー
◆主要先進国の上場企業の手元流動性(現預金および短期保有目的有価証券の合計)が増加している。フランス、ドイツ、英国、米国の4ヶ国の主要株価指数採用銘柄を対象に2016年決算期の手元流動性を集計したところ、リーマン・ショック前の2006年決算期比で全体の4分の3の企業で増加していることが確認された。
◆企業の手元流動性増加の主な背景として、①企業の資金調達コストが低下し、負債性の資金調達(債券発行や、金融機関からの借入)が増えたこと、②フリーキャッシュフロー(FCF)が潤沢であること、の2点があるようだ。
◆多くの企業は営業キャッシュフローを超えない範囲で投資を行っており、少なくとも、主要株価指数に採用されるクラスの大企業においては、投資のための資金需要が高いと言える状況ではないようだ。
◆米国においてはFRBの保有資産の圧縮や利上げが始まっており、今後米国企業を中心に負債性資金の借換えコストの上昇が予想されるが、上場企業クラスの大企業に関しては、資金繰りへの影響は軽微だろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
内部留保が増えることは問題なのか?
現預金残高ではなくROAや資本コストに与える影響に注目
2018年02月20日
-
収益機会を求め増加する日本企業の対外M&A
金融緩和も対外M&A増加の一因、FRBの出口戦略に注意
2017年12月12日
-
内部留保は何に使われているのか
M&Aなど海外向け投資が大幅増
2015年12月17日
同じカテゴリの最新レポート
-
「少額投資の在り方に関する勉強会」報告書
東証は上場会社、投資家向けの情報発信などを強化
2025年04月28日
-
IR体制の整備の義務化
パブリック・コメントの開始/7月を目途に実施予定
2025年04月23日
-
個人株主の議決権行使比率は高められるか
「飛び道具」は無いため、株主負担の地道な引き下げが重要
2025年03月26日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日