2017年12月12日
サマリー
◆日本の対外直接投資残高は2016年末時点で150兆円を超え、過去最高を記録した。この主要な背景として、2000年代後半から日本企業による対外M&Aが増加したことが挙げられる。国内人口の減少が予測される中、相対的に人口増加や経済成長が期待されるアジア地域での買収が増加している。
◆対外M&Aの半数程度が同業種間の買収だが、残りの半数は異業種間の買収である。異業種間買収における被買収側企業の業種を見ると、多くはハイテク、エネルギー電力分野である。これらは海外企業が持つ技術や知的財産、エネルギー・資源などの獲得が目的とみられる。
◆世界的なクロスボーダーM&Aの増加も、日本企業の対外M&Aに影響しているものとみられる。先進国を中心とする中央銀行の金融緩和策により、市場には潤沢な資金が供給されており、事業会社間に加え、投資ファンドによるクロスボーダーM&Aも堅調である。米国では金融緩和政策の縮小が進んでおり、2017年10月からFRBによる保有資産の圧縮が開始されている。これが今後の世界のクロスボーダーM&Aおよび日本企業の対外M&Aにどのような影響を与えるか注視していく必要がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
内部留保が増えることは問題なのか?
現預金残高ではなくROAや資本コストに与える影響に注目
2018年02月20日
-
拡大する企業の「投資」
企業の投資有価証券に対する支出が堅調、ネットで設備投資を上回る
2014年02月26日
-
内部留保は何に使われているのか
M&Aなど海外向け投資が大幅増
2015年12月17日
同じカテゴリの最新レポート
-
「少額投資の在り方に関する勉強会」報告書
東証は上場会社、投資家向けの情報発信などを強化
2025年04月28日
-
IR体制の整備の義務化
パブリック・コメントの開始/7月を目途に実施予定
2025年04月23日
-
個人株主の議決権行使比率は高められるか
「飛び道具」は無いため、株主負担の地道な引き下げが重要
2025年03月26日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日