2025年10月29日
サマリー
◆2025年9月5日、金融庁と日本証券業協会が共催するスタートアップ企業等への成長資金供給等に関する懇談会は、「『スタートアップ企業等への成長資金供給等に関する懇談会』報告書」(以下、報告書)を公表した。
◆報告書は、スタートアップ企業等への資金供給の在り方に関し、次の四つの観点から基本的な考え方を整理している。第一に、スタートアップ企業等への投資はリスク許容度のある投資者による自己責任が前提である。第二に、大規模投資家やエンジェル投資家、SPVスキーム等のビークルによる投資の拡大が重要である。第三に、セカンダリー市場の整備は、非上場株式の流動性向上に加え、スタートアップ企業等への資金供給の活性化にも寄与する。第四に、市場仲介者には、持続可能な形でスタートアップ企業等の成長を支援する役割が求められる。
◆このようなスタートアップ企業等への資金供給の在り方を前提に、報告書では非上場株式の発行・流通を活性化するための対応策が検討されている。具体的には、証券会社等が関与するスタートアップ企業等の資金調達額を2027年度までに1,800億円にするという重要目標達成指標(KGI)が設定され、大規模投資家による資金供給の拡大、SPVスキーム・投資信託・エンジェル投資家の役割強化、特定投資家制度の利活用、非上場株式のセカンダリー取引の活性化、非上場株式の勧誘規制の見直しなど、多岐にわたる提言が行われた。とりわけ特定投資家制度の利活用、セカンダリー取引の活性化、勧誘規制の見直しに関する対応策については、「日証協のワーキング・グループにおいて検討を行い、令和7年度中に結論を得る」と明記されており、他の対応策よりも早期に実現・措置される可能性がある。
◆非上場株式への投資は上場株式への投資よりも高いリスクを伴うため、適切な投資者保護が必要不可欠である。英国で2025年6月より試験運用が開始された非上場株式の新しい取引プラットフォーム(PISCES)など、海外の先行事例も参考に、規制緩和と投資者保護のバランスに関する議論を深めていくことも求められよう。
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