2015年12月17日
サマリー
◆2014年度末時点で企業全体の内部留保は354兆円と、10年前(2004年度)と比べ150兆円増加している。内部留保は主に企業の海外展開の原資として活用されており、また運転資金確保のため、一部は現金・預金となっているようだ。
◆企業の国内設備投資は緩やかな回復が続いているものの、2000年代半ば(金融危機前)の水準には達していない。一方、海外で子会社や工場を設立したり、現地企業との合弁会社を設立したり、現地企業を買収するなど、海外投資は積極的に行われており、対外直接投資残高は過去最高となっている。
◆2015年11月26日に開催された「第3回未来投資に向けた官民対話」では、日本経済団体連合会が「事業環境の国際的なイコールフッティングの確保」を求めた。法人実効税率の早期引き下げや、規制改革の更なる推進、労働規制の更なる緩和など、国内の事業環境が改善されれば国内設備投資は3年間で約10兆円増えると推計している。2015年12月16日に自民・公明両党が公表した「平成28年度税制改正大綱」では法人税の実効税率引き下げが盛り込まれたが、引き続き国内事業環境の改善が求められる。
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