6月日銀短観から読み解く企業の資金繰り

企業金融関連のDIは総じて改善、金利先高感が強まる

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サマリー

◆日本銀行から全国企業短期経済観測調査(短観)の2013年6月調査結果が発表された。企業金融関連では、資金繰り判断DIは前回調査から2%ptプラス、金融機関の貸出態度判断DIは1%ptプラス、借入金利水準判断DIは7%ptプラスとなった。業種や企業規模にかかわらず、全般的に改善している。


◆背景としては、業況判断の改善に伴い、企業自身の資金繰り見通しが楽観的になっていること、また金融機関が貸出を積極化していることが考えられる。今回の調査は2013年3月末の中小企業金融円滑化法失効以降、初の調査であったが、現段階では中小企業の資金繰りに悪影響が出ている様子は見受けられない。


◆借入金利水準判断DIは-1%pt(最近)と前回に引き続きマイナスではあるものの、マイナス幅は縮小した。また、先行きの判断は13%ptと上昇を見込む企業の割合が大きく増加した。貸出金利の低下余地が限られることや、国債金利が2013年4月を底に上昇に転じ始めたことなどが影響しているものと推測される。2013年度第1四半期は社債発行が活発であった。金利上昇に備え、低金利のうちに長期資金を調達しておこうという動きが出始めている可能性がある。

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