2012年10月02日
サマリー
◆日本銀行から全国企業短期経済観測調査(短観)の2012年9月調査結果が発表された。企業金融関連では、資金繰り判断DI、金融機関の貸出態度判断DI、借入金利水準判断DI、いずれも前回調査から横ばいであった。
◆企業の業況判断は前回調査から悪化しており、2012年度売上高見通しも下方修正されていることはマイナス要因であるが、貸出金利の水準が依然として低いことや、金融機関の貸出態度判断DIが悪化していないことがプラス要因として働き、全体としては前回調査比で変わらずの結果になったものと考えられる。
◆今回の調査結果によれば、中堅および中小企業の電気・ガスの資金繰り判断DIに大きな改善がみられた。これは2012年7月から開始された「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」の影響があろう。一方、電気・ガスの大企業における資金繰り判断DIは悪化している。7-9月期に電力債の発行が相次ぎ、市場からの資金調達が再開されたものの、資金調達コストの上昇と、火力発電の燃料費増加による業績悪化が影響しているものと考えられる。
◆他機関の調査結果の中には、中小企業の資金繰りに悪化の傾向が見受けられるものも存在する。今回の調査結果には中国における反日デモの影響がほとんど織り込まれていないことから、今後の業況次第で、資金繰りが厳しい企業が増加する懸念がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
成長と新陳代謝を促進するグロース市場改革
スタンダード市場への影響も注視
2025年05月12日
-
「少額投資の在り方に関する勉強会」報告書
東証は上場会社、投資家向けの情報発信などを強化
2025年04月28日
-
IR体制の整備の義務化
パブリック・コメントの開始/7月を目途に実施予定
2025年04月23日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日