地銀と不動産仲介業

地域活性化に向けた多角化戦略に残る「最後の1ピース」

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サマリー

◆地方銀行の多角化戦略の課題の1つに不動産仲介業がある。不動産仲介業は相続、事業承継、担保管理、事業再生時の任意売却など金融機関の本業と親和性が高く、相乗効果も見込まれる。今後期待される地域経済の面的再生においても、例えば空き家や空き店舗の再生などまちづくり業務を地域金融機関が手掛けるとした場合、空き物件の次の担い手を探し、仲介することができない点は課題となる。

◆1975年以前、多くの地方銀行は不動産会社を保有していた。関連会社規制によって、親銀行を連想させない商号への変更など「適正化」がなされ、その後解禁されることなく現在に至る。他業リスクの問題は別として、再参入に向けたハードルは既存の不動産会社に対する経営圧迫懸念である。

◆他業圧迫を避けつつ地域活性化メリットを創出するため、地域金融機関と地元不動産業の役割分担関係の構築が求められる。不動産仲介プロセスにかかる両者のポジションを整理することがその第1歩となる。仲介における努力と成果の対応関係を明確化する考え方の下、銀行系不動産会社は自ら創出、探索した売り仲介・元付けプロセスに特化することも解決策の1つだ。

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