2021年02月04日
サマリー
◆低金利、将来の人口減少下においても持続可能なビジネスモデルとして、企業価値向上に向けた取引先支援が期待されている。商工会議所等の伴走型支援や、農業協同組合の経営指導、販売・購買事業など伝統的な経営支援モデルと何が違うのか。
◆販路開拓、経営人材の紹介、経営アドバイスなどの企業支援は、企業価値の向上を通じた高配当、最終的に高値売却を目的とする投資会社のビジネスモデルに近い。他方、融資の価値観や行動規範、一言でいえば「文化」は投資のそれとは正反対。背景には融資と投資における運用原資と収益形態の違いがある。
◆投資文化に属する「企業支援」を融資文化の銀行が手掛けるのに、まずは預金取扱金融機関であるがゆえの心理的ハードルを自覚することが第一歩だ。いずれグループ内の投資専門会社がリーダーシップを掌握し、コンサルティング業務を軸に人材紹介その他の経営支援サービスを提供する体制への転換が考えられる。外部の投資会社との地域連携も有力な選択肢だ。預金業務を切り離す「上下分離」も最終的には排除できない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
経済圏別の地域金融機関シェアの試算
中小地方都市で存在感を示す信用金庫
2018年09月07日
-
中小企業の借入利率の低下ペースが緩やかなのはなぜか
地域金融機関の持続可能なビジネスモデルに関する一考察
2018年06月14日
-
夏祭りより大事な銀行の地域密着
2018年08月29日
同じカテゴリの最新レポート
-
ステーブルコイン推進へ舵を切る米国(前編)
ステーブルコインの概要と現況
2025年05月19日
-
日本のウェルス・アセットマネジメントビジネスの方向性
~米欧と同じ付加価値を追求しているか~『大和総研調査季報』2025年春季号(Vol.58)掲載
2025年04月24日
-
米国ウェルスマネジメント市場発展の経緯と今後の展望
~付加価値追求とインセンティブの調和~『大和総研調査季報』2025年新春号(Vol.57)掲載
2025年01月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日