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中小企業の借入利率の低下ペースが緩やかなのはなぜか

地域金融機関の持続可能なビジネスモデルに関する一考察

鈴木 文彦

サマリー

◆中小企業の借入利率は、投下資本事業利益率と市場金利(10年国債利回り)の範囲で変動し、1990年代の急低下が落ち着いた後、2000年代は横ばいで推移していた。2012年以降、金融緩和策や収益力の回復を背景に再び低下している。これまでの動きをみると、市場金利の低下が中小企業の借入利率に波及するのは大企業に比べ遅く、2000年代で顕著だが下方硬直的でもある。理由として、中小企業の場合、格付の要素となる信用力指標の改善ペースが大企業に比べ緩やかで、水準も低いことが考えられる。適用利率の見直しの機会が少ない影響もあるだろう。

◆翻って、中小企業の借入金利の下方硬直性は、中小企業を主力取引先とする地域金融機関にとって重要な収益機会でもあると再認識させられる。マイナス金利の長期化、人口減少等による貸出残高の先細りが懸念される中、金利競争による貸出拡大の代わりに求められるビジネスモデルは、コミュニケーション密度を生かした積極的なリスクコントロールを旨とする貸出手法だ。たとえば実態把握の精度を高め、表面上の決算データから得られるよりも高い信用力を発見することで貸出先の間口を広げる。足下の信用力がそれほど高くない先に貸出のうえ、経営アドバイスや経営人材の紹介等を通じ積極的にリスクを低減することも収益拡大の機会になりえる。

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