2018年11月07日
サマリー
◆今後、認知機能の低下した高齢者の増加が予想されており、高齢者の金融行動や経済社会に与える影響は小さくない。認知科学や老年学と金融研究とを組み合わせた研究領域である「金融ジェロントロジー」も高齢社会の金融を語る上でのキーワードとなっている。
◆認知症患者率、75歳以上人口の増加率、相続資産の流出入動向などから判断すると、東京を含む都市圏は「金融ジェロントロジー」がより求められる地域だと言える。また、認知症患者率や相続資産の純流出が相対的に高い県なども同様に高齢顧客のための金融のあり方の検討がより求められるだろう。
◆資産管理・保全や資産移転、資産運用・取り崩しなど、超高齢社会において求められる金融商品・サービスや機能は多様である。近年、さまざまな商品・サービスの普及は進んでいるものの、地域金融機関の間で対応状況に差が出ている。加えて、高齢顧客との接点が多いという立場から、金融・非金融の垣根を越えた連携や非金融サービスの提供も地域金融機関には今後求められよう。
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