2017年09月15日
サマリー
◆高齢富裕層はどこにいるのか、という問いは金融機関にとって重要だと考えられる。相続資産の世代間移転への対応や預かり資産ビジネスなどの金融サービスの需要分布の推計の一助になると思われるためだ。本稿では、相続税の基礎控除額の引き下げ前後の相続税統計を用いて、高齢富裕層の地域分布を理解することを試みた。
◆都道府県内における高齢富裕層の比率は、おおむね三大都市圏で相対的に高い傾向にあるが、静岡・広島などその他の地方圏でも高い県が見られる。また、東京・神奈川・愛知・京都・大阪・兵庫などの都市部の高齢富裕層の分布は、他の道県とやや異なる特徴を持つ可能性が示唆された。
◆市・区レベルでは、三大都市圏において、東京の複数地区で富裕層の比率が高かったが、愛知県の一部地域のように、「準富裕層」(基礎控除額の引き下げ後に初めて課税対象となる程度の資産を保有する層)が地区内に多く分布しているような地区も散見された。地方圏では、準富裕層比率が高い地区が静岡に集中していること、富山県の一部地域で課税対象被相続人が大幅に増加したことなどが確認された。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
金利上昇下における預金基盤の重要性の高まり
~預金を制するものは金融業界を制す~『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載
2025年07月24日
-
地方銀行の越境再編
その土台にある地域経済圏の再構築
2025年07月11日
-
ステーブルコイン推進へ舵を切る米国(後編)
GENIUS法案は如何にして米ドルの支配的地位を補強するか
2025年06月13日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日