2018年08月02日
サマリー
◆高齢化の進展や高齢者が直面しうる金融上のリスクが意識されていることを受け、高齢社会で求められる金融商品や金融サービスへの関心が高まっている。認知科学や老年学と金融研究とを組み合わせた研究領域である「金融ジェロントロジー」も高齢社会における金融を語る上での一つのキーワードとなっている。
◆認知症や「認知症の一歩手前」の状態である軽度認知障害(MCI)の高齢者に占める有病率はそれぞれ15%前後であり、今後も上昇するという推計もある。また、これらの疾患が高齢者自身の金融行動や経済社会に与える影響は小さくない。
◆国内外で、認知症の顧客に配慮した金融サービスや金融詐欺防止のためのテクノロジーの利活用、高齢者のニーズをとらえた信託、終身年金保険、投資信託、ラップ口座などを提供する事例が見られる。
◆認知症になってからでは、資産管理において取りうる選択肢が少ない。金融機関としては高齢者が認知症に至る前に資産管理計画を策定することを促しつつ、それぞれの地域の高齢者のニーズに合わせた金融商品・金融サービスの提供をすることが望ましいと思われる。
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