ステーブルコイン推進へ舵を切る米国(前編)

ステーブルコインの概要と現況

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サマリー

◆米国政府は、ステーブルコインの流通拡大を警戒し制限する従来の方針から、米ドルの国際通貨としての地位を維持するためのツールとして規制の枠組みに取り入れ、統制をしつつ発展を推進する方針に転換した。本レポートでは前編でステーブルコインの概要と現況、そして後編で方針転換の狙いと現在議会で審議中のステーブルコイン規制法案がもたらし得る変化を考察する。

◆ブロックチェーン上で取引可能かつ貨幣に近い存在であるステーブルコインは、暗号資産取引の媒介のみならず、既存の銀行ネットワークによる送金・決済手段の代替へと役割を拡大しつつある。

◆ステーブルコインはCBDC(中央銀行デジタル通貨)と異なり、裏付け資産への信用等が揺らいだ時に突如として価格が急落するリスクが存在する。

◆不安定性を抱えた資産が米ドルの代替として広く利用された場合、単一銘柄の価格の急落が金融市場全体に伝播する可能性がある。したがって、利用者保護と金融安定性の観点から包括的な法規制の導入が不可欠といえよう。

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