複合危機の今、求められる人権尊重の取組み

第14回国連ビジネスと人権フォーラムで再確認された企業の責任

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2026年01月20日

  • 金融調査部 研究員 中 澪

サマリー

◆2025年11月、国際連合「ビジネスと人権フォーラム」がスイス・ジュネーブで開催された。14回目の本フォーラムでは、複数の危機が交差し、人権に対する負の影響が顕在化しやすい「複合危機」にあるとの時代認識が共有され、「ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGPs)に則して企業に求められる取組みなどが議論された。

◆本フォーラムでは、国際人権法の再確認とダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)への再コミットメント、企業の責任としての移住労働者の権利保障、紛争影響下における人権尊重と投資家の役割、人工知能(AI)の導入に伴う潜在的な人権侵害の防止などが喫緊の課題として取り上げられた。

◆企業による人権尊重の取組みの国際的な水準を知ることができるという点で、日本企業にとっても本フォーラムに参加する意義は大きい。一方で、新たな課題に対する取組みは始まったばかりであり、その有効性についてはさらなる議論が期待される。より効果的な人権侵害の防止や救済の提供に向けた知見の蓄積が求められる。

◆もっとも、人権課題が複雑性を増し続けるなかで、一般化可能なプロセスや方法論が確立されることは想定しづらいと思われる。複合危機の今、日本企業には、自社の事業活動や取り巻く状況を踏まえ、人権尊重のために果たさなければならない責任や発揮すべき役割を自ら考え、行動に移すことが求められている。

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