2024年06月12日
サマリー
◆企業の人権尊重をめぐるステークホルダーの視点はより厳しくなり、より多様なステークホルダーから取組みが求められるようになっている。特に近年、機関投資家の間で人権に対する関心が高まっており、企業にとって自らの人権尊重の取組みがどのような水準にあるのかを把握することの重要性が増していると考えられる。
◆人権尊重に関する企業評価であるCorporate Human Rights Benchmark(CHRB)によると、世界的に企業の人権尊重の取組みに対する評価は低い。その中で、日本企業の評価も決して高いとはいえない水準にある。その主な要因としては、経営戦略における人権尊重の明確な位置づけ、人権尊重に向けた具体的な実践や対応が不十分であることが指摘できる。
◆CHRBにおける評価の結果及び過程から、日本企業には、人権尊重の実践の深化と加速、そして人権尊重に関する情報開示の量的な拡充が求められていると考えられる。加えて、その内容をステークホルダーに伝えるためのコミュニケーションの向上も課題となっている可能性がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
「ビジネスと人権」をめぐる日本企業の対応
人権デュー・ディリジェンスの実施はどこまで進んでいるか
2024年02月14日
-
人権尊重における機関投資家の役割
企業の取組みを促進する可能性への期待と課題
2024年05月01日
-
LGBTQ+の人権をめぐる国連の活動の展開と日本企業への示唆
「国連LGBTI企業行動基準」を参照し国際的に通用する取組みを
2023年06月05日
同じカテゴリの最新レポート
-
ISSBがIFRS S2の改正案を公表
温室効果ガス排出量の測定・開示に関する要件を一部緩和
2025年05月16日
-
年金基金のESG投資を実質禁止へ:米労働省
バイデン政権時代に制定されたESG投資促進の規則は廃止へ
2025年05月14日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日