削減貢献量は低炭素ソリューションの優位性を訴求するための有用な指標となるか

注目されるWBCSDのガイダンスを踏まえて

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2025年04月17日

サマリー

◆温室効果ガス(GHG)排出の削減貢献量への関心が高まっている。削減貢献量とは、従来の製品・サービス(ソリューション)から新たな低炭素ソリューションに代替した際のGHG排出量を評価する考え方である。自社の排出量削減だけでなく社会全体の排出量削減への貢献やイノベーションの推進が求められていることが背景にある。

◆政府のグリーントランスフォーメーション(GX)に関する国家戦略「GX2040ビジョン」においては、産業構造の転換に向けた施策の一つに低炭素ソリューションの価値(GX価値)が評価される市場の創造がある。このGX価値の見える化に向けて、削減貢献量などの評価指標の利用が検討されている。

◆削減貢献量の算定に関しては、これまで様々な業界団体等からガイダンスが公表されている。このうち、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)が2023年に公表したガイダンスは、国際標準になる可能性があるものとして特に注目度が高い。

◆少しずつではあるが、削減貢献量を算定・開示する企業や、企業評価の指標として活用する機関投資家が増え始めている。算定方法の標準化確立や信頼性向上などの課題はあるが、企業にとって削減貢献量は脱炭素戦略と低炭素ソリューションの優位性を投資家に訴求するための効果的な指標であり、今後の利用拡大が期待される。

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