2023年11月27日
サマリー
◆自然および生物多様性の損失を防ぎ、回復することが世界的な目標として位置付けられている。政策的な動きが加速する中、機関投資家も自然/生物多様性の損失が自らのポートフォリオに与える影響に関心を強めている。今後、機関投資家から投資先企業に対する情報開示やエンゲージメントを求める動きが強まる可能性が高い。
◆2022年12月、機関投資家が主導するイニシアティブであるNature Action 100が設立された。投資先企業に対し、エンゲージメントを通じて自然の損失を抑え、回復することなどを求めていくという。2023年10月には責任投資原則(PRI)がSpringの立ち上げを表明した。2030年までに生物多様性の損失を防ぎ、回復するという世界の目標に機関投資家が貢献することを目的とするイニシアティブであり、署名機関に対し参加を呼び掛けている。
◆企業に求められる対応としては、2023年9月に自然関連財務情報タスクフォース(TNFD)から提言された“LEAPアプローチ”を活用して自然関連の依存、影響、リスク、機会を評価し、情報開示フレームワークに従って情報開示を行うことであろう。自然への依存が大きい、もしくは与える影響が大きい企業としてNature Action 100が挙げた8業種に該当する企業は自然関連の評価、情報開示に早期に取組むことが望ましい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
TNFDの基準が確定、内容を概説
企業が開示すべき「自然」に関する情報とは
2023年10月25日
-
TNFDが提唱する自然資本に関する情報開示
情報開示フレームワークの概要と今後の見通し
2023年01月10日
-
昆明・モントリオール生物多様性枠組を読む
採択を契機に、官民の生物多様性対応の加速が望まれる
2023年03月02日
-
ESG投資において今後注目すべき生物多様性
2021年は生物多様性の転換年になる可能性
2021年03月19日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
主要国経済Outlook 2024年11月号(No.456)
2024年10月24日
-
最高路線価で読み解く都市の発展史
〜コロナ後の城下町2.0 まちづくり〜『大和総研調査季報』2024年秋季号(Vol.56)掲載
2024年10月24日
-
消費本格回復のカギは高所得世帯と70 ~ 80 年代生まれ
『大和総研調査季報』2024年秋季号(Vol.56)掲載
2024年10月24日
-
日本のウェルスマネジメント市場のポテンシャルを探る
~大和総研「日本経済中期予測」に基づく将来推計~『大和総研調査季報』2024年秋季号(Vol.56)掲載
2024年10月24日
-
英国労働党のハネムーンは苦い思い出に
2024年10月25日
よく読まれているリサーチレポート
-
第222回日本経済予測(改訂版)
不安定化する外部環境の下で日本経済の成長は続くか①米国景気・円高、②金利上昇リスク、③少子化対策、を検証
2024年09月09日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
FOMC 0.50%ptの利下げを決定
利下げ幅の判断に関しては曖昧さが残る
2024年09月19日
-
中国:金融緩和など景気刺激策を発表も効果は?
人民銀行総裁が預金準備率の引き下げ、住宅市場テコ入れ策を「予告」
2024年09月26日
-
超富裕層に税率22.5%のミニマムタックスを導入
「1億円の壁」問題による金融所得一律増税は回避へ
2022年12月22日
第222回日本経済予測(改訂版)
不安定化する外部環境の下で日本経済の成長は続くか①米国景気・円高、②金利上昇リスク、③少子化対策、を検証
2024年09月09日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
FOMC 0.50%ptの利下げを決定
利下げ幅の判断に関しては曖昧さが残る
2024年09月19日
中国:金融緩和など景気刺激策を発表も効果は?
人民銀行総裁が預金準備率の引き下げ、住宅市場テコ入れ策を「予告」
2024年09月26日
超富裕層に税率22.5%のミニマムタックスを導入
「1億円の壁」問題による金融所得一律増税は回避へ
2022年12月22日